コラム

特別管理産業廃棄物とは

特別管理産業廃棄物とは、通常の廃棄物の中でも特に危険性が高く、適切に管理しないと人の健康や生活環境に深刻な被害を及ぼすおそれがある廃棄物のことです。

廃棄物処理法において「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」と定義されています。

このため、通常の産業廃棄物以上に厳しい管理基準や処理方法が法律で定められています。

通常の産業廃棄物との違い

特別管理産業廃棄物と通常の産業廃棄物の主な違いは、その危険性に基づく特別な管理体制が必要かどうかにあります。

通常の産業廃棄物が比較的安全性の高い廃棄物であるのに対し、特別管理産業廃棄物は、化学的な腐食性や毒性、また感染性などの性質を有しており、不適切な管理が重大なリスクを引き起こす可能性があります。

この違いにより、特別管理産業廃棄物には収集運搬や保管、最終処分時における厳格な基準が課されています。

対象となる廃棄物の具体例

特別管理産業廃棄物には、以下のようなものが該当します。

廃酸や廃アルカリ

pHが極端に低い(2.0以下)または高い(12.5以上)廃液

感染性産業廃棄物

医療機関や研究施設から排出され、感染性病原体が含まれる恐れのあるもの

廃油

揮発油類や灯油類、軽油類で強い引火性を有するもの

廃PCB等

PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む廃油やPCBが染み込んだ物質

廃水銀等

水銀またはその化合物が含まれる廃棄物

これらの廃棄物は、特に人や環境に悪影響を与える可能性が高いため、法的に厳しい管理と処理が求められています。

収集・運搬における注意点

特別管理産業廃棄物を収集・運搬する際には、廃棄物が飛散・流出しないように適切な措置を講じる必要があります。
例えば、廃棄物を安全に密閉できるコンテナや専用袋に入れること、液体の場合は漏れ防止の設備を使用することが求められます。

また、運搬する車両にも基準があり、携行する文書に廃棄物の種類や数量、排出元など必要な情報が記載されていることが義務付けられています。
さらに、廃棄物利用の過程で事故や人為ミスによる流出が発生しないよう、運搬者や関係者には十分な教育訓練を行い、安全管理体制を整える必要があります。

このような管理は環境汚染を未然に防ぐとともに、法律違反による罰則を回避するためにも重要となります。

事業者が取るべき安全対策と環境保全

特別管理産業廃棄物を取り扱う事業者は、人や環境に対するリスクを最小限に抑えるため、安全対策をしっかりと講じる必要があります。

取り扱い時に防護服や防毒マスクを着用すること、適切な保管・運搬設備を整えることなどが挙げられます。
「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置し、廃棄物の管理や運搬の適正化が行われているかを継続的に監視することも法律で定められています。

また、特別管理産業廃棄物を保管するエリアでは、廃棄物が他の廃棄物と混合しないよう、専用の囲いや仕切りを設置することが必要です。
汚水が漏れ出さないような排水対策を徹底し、害虫や悪臭の発生を防止することや、廃棄物の種類や量の定期的な点検を行うことも推奨されているため、その取り扱いには十分に注意しましょう。

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