産業廃棄物の「動植物性残さ」とは?適切な処理方法
動植物性残さとは、特定の産業から排出される固形状の廃棄物のことです。
食品製造業や医薬品製造業、香料製造業などの製造工程で発生する、動物や植物を原料とした固形廃棄物が動植物性残さとして扱われます。
このような廃棄物は産業廃棄物の一種であり、リサイクルや適切な処理が強く求められています。
動植物性残さのうち、動物由来のものでは、魚の骨や内臓、卵殻、貝殻、羽毛などが挙げられます。
一方、植物由来のものには、野菜くず、大豆かす、酒かす、コーヒーかす、ビールかす、茶かすなどがあります。
このような廃棄物は腐敗しやすいという特徴があり、迅速な処理と管理が必要です。
この記事でわかること

動植物性残さの発生源
動植物性残さが発生する主な業種としては、食品製造業、医薬品製造業、香料製造業が挙げられます。
これらの業種では、動植物を原料とする加工や製造工程で廃棄物が生じることが一般的です。
食品製造業
食品製造業では、野菜や果物の皮や芯、大豆や酒から出る搾りかす、魚の骨や内臓などが動植物性残さとして発生します。
これらは、生鮮食品の加工商品で頻繁に見られる廃棄物です。
医薬品製造業
医薬品製造業では、植物から抽出した薬効成分の加工過程で生じた残さや、動物由来の副産物が多く見られます。
香料製造業
香料製造業では、香りを抽出した後に残る植物性のかすや動物性の原料残さが主に排出されます。
これとは異なり、飲食店などから出る残飯や液状の廃棄物は、事業系一般廃棄物に分類されるため、動植物性残さとは異なった処理方法が求められる点に注意が必要です。
家庭から排出される動植物性残さ
家庭から排出される動植物性残さには、調理中に出る野菜の皮や肉や魚の切れ端、または食べ残しといった食品廃棄物が含まれます。
これらは一般家庭からのゴミとして少量ずつ発生しますが、私たちの日常生活に密接に関連した廃棄物です。
家庭から出る残さは「一般廃棄物」として扱われ、通常のごみ回収により処理することが求められます。
動植物性残さの排出量と現状
年間排出量と統計データ
環境省の2021年の調査では、動植物性残さの年間排出量が231万7,000トンに達していると報告されています。
この数字は全産業廃棄物の0.6%に相当します。
興味深いことに、2020年と比較すると、約6万トンの減少が見られています。
環境への影響
動植物性残さは、有機物を多く含むため、適切な処理が行われない場合、腐敗による悪臭や害虫の発生といった問題を引き起こします。
また、放置されることでメタンガスなどの温室効果ガスが発生し、地球温暖化の加速につながる可能性もあります。

動植物性残さの処理方法
物理的処理:乾燥や粉砕による安定化
動植物性残さを処理する方法の中で、物理的処理は比較的シンプルな手段として活用されています。この方法の代表的な技術には「乾燥」と「粉砕」が挙げられます。
乾燥処理
乾燥処理は、動植物性残さに含まれる水分を蒸発させることで腐敗の進行を遅らせ、保管期間を延ばすことが目的です。
粉砕処理
粉砕は残さを細かく砕くことで体積を減らし、運搬や処理が効率的になるメリットがあります。
これらの処理方法は腐敗を防ぎ、動植物性残さの特徴である劣化のしやすさを抑える重要な手段の一つです。
熱処理:焼却とサーマルリサイクル
動植物性残さの処理方法として、熱処理も広く行われています。
焼却は最も一般的な方法で、高温で残さを燃焼させることで有害物質を無害化するとともに、体積を劇的に減少させることが可能です。
また、サーマルリサイクルと呼ばれる方法では、焼却時に発生する熱エネルギーを回収し、発電や温水供給に活用します。
ただし、焼却には燃料を必要とすることがあり、また二酸化炭素の排出があるため、環境負荷の削減に向けた改良が求められています。
生物的処理:堆肥化とメタン発酵
生物的処理は、微生物の働きを利用して動植物性残さを分解・再資源化する方法です。
堆肥化
堆肥化はその代表例であり、動植物性残さを主に農地で利用される有機質肥料に変えるプロセスです。
この方法は環境負荷が低く、農業廃棄物の循環利用という観点でも優れています。
メタン発酵
メタン発酵という技術では、動植物性残さを分解しながらバイオガス(主成分はメタン)を発生させます。
このバイオガスは発電燃料として活用され、エネルギーの自給自足を推進する重要な役割を担っています。
これらの処理には一定の施設設備が必要であり、初期投資や運用管理が課題となる場合があります。
家庭と産業で処理方法が異なる理由
家庭から出る動植物性残さと、産業から排出される動植物性残さでは、処理方法が異なる理由の一つはその量と成分の違いにあります。
家庭の場合、少量で多種多様な廃棄物が発生するため、燃やすか埋め立てることが一般的な処理です。
一方、産業の場合は大量かつ特定の内容物が含まれており、リサイクルが可能な場合も多いことから、飼料化や肥料化、あるいはメタン発酵によるエネルギー回収といった処理方法が取られます。
再利用方法とリサイクルの可能性
肥料化・飼料化の実例
動植物性残さは、肥料や飼料として再利用されるケースが多くあります。
例えば、食品工場で発生する野菜くずや果実の皮は微生物による分解や発酵を経て肥料化され、農地の栄養として活用されます。
一方、魚のアラや肉加工過程で排出される骨や内臓は、乾燥処理や粉砕加工を行うことで、家畜の飼料として使用されるのが一般的です。
これらのリサイクル処理方法は、産業廃棄物の削減に大きく貢献すると同時に、循環型社会の実現に寄与しています。
水分・塩分などの特性を考慮した処理
動植物性残さのリサイクルでは、水分や塩分などの特性に応じた処理方法を選択することが重要です。
例えば、魚の内臓や卵殻のような高塩分の残さは、そのまま肥料化や飼料化すると土壌や家畜に悪影響を与える可能性があります。
そのため、塩分の除去や乾燥工程を加えることが必要です。
また、水分の多い動植物性残さについては、乾燥や脱水処理を施すことで処理効率を向上させます。
このように、産業廃棄物として動植物性残さを適切に処理するためには、廃棄物の特徴に対応した処理方法を選ぶことが不可欠です。

愛媛県の産廃業許可は行政書士くにもと事務所
動植物性残さのリサイクルが進む中で、持続可能性を高めるためには多くの課題が残っています。
動植物性残さは産業廃棄物の一種であり、その処理方法の多くがメタン発酵や肥料化、飼料化といったリサイクル手法に依存しています。
しかし、これらの処理方法には資源化効率の限界やコスト面の課題があります。
リサイクル設備の導入コストが高いこと、技術者の育成が十分に進んでいないこと、また、異物混入などにより処理プロセスが効率的に進まない場合もあることが問題とされています。
利用可能な技術の標準化および普及がこれまで以上に求められるでしょう。
愛媛県内の動植物性残さの処理施設
愛媛県で動植物性残さを処理できる主な施設は以下のとおりです。
- 島田工業(株)
松山市太山寺町乙251番8外 - 西日本砕石(株)
新居浜市阿島乙174 - オオノ開發(株)
東温市河之内字大小屋乙628番1外 - (株)エバーグリーン
大洲市八多喜町乙1111番地10外

特定行政書士 國本司
行政書士くにもと事務所
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