廃棄物と有価物の違い
有価物とは廃棄物全般に対する対概念であり、経済的に価値のあるものは有価物とされ廃棄物としては扱われません。
しかし、物の引き渡しに対価が発生しているもの全てを一律に有価物として扱ってしまえば、廃棄物処理法の規制を免れるような脱法行為が横行するおそれがあります。
廃棄物と有価物の違いをよく理解した上で、廃棄物処理法の規制に則った適正な運用が求められます。

廃棄物の定義
廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって定義されています。
この法律では、廃棄物とは生活環境や健康に悪影響を及ぼす恐れのある固形または液状のものを指します。
具体的には、ごみ、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体などが挙げられます。
さらに、事業活動によって出されたものは産業廃棄物、それ以外のものは一般廃棄物と分類されます。
現場では、この法的定義とともに、環境への影響を考慮しつつ、性状や取扱い方法で識別されることが多いです。
有価物の定義
有価物は、廃棄物処理法の範囲外にあるもので、法律上明確な定義はありませんが、価値が認められ、金銭的利益を生む可能性があるものを指します。
例えば、使用可能な状態の物品や、少し整備することで再び利用できる可能性のあるものが該当します。
金属くずや古紙、プラスチック類など、リサイクルできる素材が一般的な例として挙げられます。
有価物は市場で取引されるため、売却益を得られる点が大きな特徴です。
廃棄物と有価物の判断
廃棄物と有価物の違いは、その価値や取扱いに現れます。
有価物は市場での取引が可能なものであり、購入者が存在すれば有償で譲渡することが可能です。
一方で、廃棄物は金銭的価値がなく、処分時には費用が発生します。
また、有価物の取引には古物業の許可が必要であるのに対し、廃棄物の処理には廃棄物収集・運搬の許可が求められます。
これらの条件や規定から、両者が明確に区別されていますが、境界線の判断が難しい場合も少なくありません。
例えば、使用済みの家電製品は修理を施せば再利用できる場合があり、金属やプラスチックくずも市場で取引されることがあります。
しかし、これらが適切に管理されていなかったり、価値が極端に低い場合は廃棄物と見なされることもあります。
このような状況では、「市場価値」や「占有者の意思」が重要であり、現場では実務的な観点から総合的に判断することが求められます。
廃棄物処理法の意味と適用範囲
廃棄物処理法は、廃棄物の適切な処理を通じて生活環境の保全や公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
本法では廃棄物の発生から運搬、処理、最終処分に至るまでの手続きが厳格に定められており、基準を満たさない場合には違法行為と見なされます。
有価物については基本的に廃棄物処理法の適用外となりますが、違法な処理や不正な取引を防ぐために、市場取引が行われる際には他の法律や規則の適用を受ける場合があります。
このように、廃棄物処理法は廃棄物に関する取り扱い全体を包括的に規律する重要な役割を担っています。
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